「なごり雪」イルカ(無名女優〈黒澤はるか〉)
風の風来坊 風の風来坊
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 Published On Feb 25, 2023

1975年11月5日発売のイルカ3枚目のシングル。
翌1976年に掛けて、オリコンの集計で55万枚近いセールスを記録した。累計売上は80万枚。自身のシングルとしては最大の売上を記録した。
このシングル盤は編曲が松任谷正隆、アコースティックギターは吉川忠英、エレキギターは鈴木茂、ベースは宮下恵補、ドラムは村上秀一の演奏によってレコーディングされた。
オリジナルとは一部のメロディが異なる。※イルカバージョンは最後の「綺麗に」から「なった」までを溜める。

作詞・作曲:伊勢正三
編曲:松任谷正隆


1974年3月12日、かぐや姫のアルバム『三階建の詩』の収録曲として発表された。オリコンアルバムチャート1位、年間5位。
歌詞には「東京」の文言が出てくるが、伊勢本人は出身地である大分県津久見市の津久見駅をモチーフにしたと語っている。
翌年11月にシングル発売されたイルカによるカバーバージョンがヒットを収め、以降、日本の早春を代表する歌の一つとして歌い継がれ、さまざまなアーティストによってカバーされている。

イルカが70歳(2021年)の時に語った談話。

「伊勢さんが作った「なごり雪」を初めて聴いたのはかぐや姫や吉田拓郎さんがいたユイ音楽工房の時。私はソロになり彼(夫・神部和夫さん)は私のマネジャーとして入っていました。彼は「なごり雪」を「いい曲だね」と言っていたんですね。その頃のかぐや姫は解散することが決まっていて「解散したらこの歌がもったいない」と業界内でも話題になっていました。

これは夫が亡くなってから(07年に59歳で亡くなる)こうせつさんに聞いた話ですが、私が出席していなかった会議で彼が「かぐや姫が歌わないならイルカに歌わせてもらえないか」とお願いしたそうです。それにみんなが賛同してくれたのが「なごり雪」を歌うことになった経緯です。彼は歌うことになったと結果しか教えてくれませんでしたけど。こうせつさんには「神部ちゃんのプロデュース力の勝利だよ」と言われました。」


 今 春が来て 君はきれいになった
 去年よりずっと きれいになった

かぐや姫版と決定的に違うところがある。サビの歌詞“きれいになった”を反復する際、“なった”のはめ方が違うのだ。
原曲のかぐや姫版は“なった”の“た”の部分が拍のオモテにくる。対して、イルカ版は“な”が拍のオモテになっている。
イルカがカバーで巨大なヒットたらしめた要因のひとつは、ひょっとしてこの違いなのではないか。

イルカの歌唱が持つこの特質、その方向性で行くと、くだんのサビの繰り返しの“なった”の部分が8分音符ひとつ分うしろに流れるのは自然ななりゆきに思える。そしてそれが美しいリフレインになり、“なごり雪”というメインテーマの儚さと粘質性、その繊細な平衡感覚を表現しているとさえ思える。


 なごり雪も 降るときを知り
 ふざけすぎた 季節のあとで

タイトルの「なごり雪」とはどんな雪のことを指しているのだろうか?
実は「なごり雪」というのは、作詞を担当した伊勢による造語だそうだ。
元となった「名残の雪」という言葉は、雪の多い地方で春になっても消えずに残っている雪という意味。
または、春が来てから降る雪という意味を持つそうだ。

男性は、この女性のことが好きだったのだろうか?
きっと自分でも気づかないうちに、好きになっていたのだろう。
 
それでも、彼女を引き留めるほどの確かな恋愛感情まで育っていなかったことがうかがえる。
もしくは、自分にその責任や覚悟が持てなかったのかもしれない。
 
汽車の窓越しに、改めて見る彼女はとてもきれいだ。
数年前まで幼さを残す少女だったのに、女性が大人になるスピードは、男性が思うよりずっと早い。
 
ただただ楽しければ良かった季節を過ぎ、人生の階段を一歩登り始めた女性。
男性の心残りを代弁するかのように、なごり雪が降っている。

#なごり雪
#黒澤はるか

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