一時、両耳の聴力を失いながらもピアノを弾き続けたフジコ・ヘミングさん。先月、亡くなっていたことがわかりました。92歳でした。いまも心に響く演奏、そして人柄あふれるインタビューを振り返ります。

■「Schweigen ist Gold＝沈黙は金なり」“魂のピアニスト”が語っていたこと

ピアニスト、フジコ・ヘミングさん。30代の頃に風邪をこじらせて一時聴力を失いましたが、治療中もピアノ教師をしながらヨーロッパ各地で演奏を続け、「魂のピアニスト」とも呼ばれました。代表曲は「ラ・カンパネラ」です。

フジコ・ヘミングさん（2023年6月）
「怖いですよ、ああいう所（ステージ）に立って弾かなくてはいけないというのは。危なっかしいと思ったら、神様に『助けて』とお祈りするの。80％くらい助けてくださるけど、全部ではない。時々知らん顔をしている」

太平洋戦争末期、疎開先の小学校でピアノを弾いていたといいます。

「いろんな日本兵が私のピアノを聴いて感激して、ある方は（教室に）入ってきて黒板に『愛しのフジちゃん、ピアノが素晴らしい』と白墨で書いてくれたのを思い出す」

ファンの中には、いまも戦火にさらされている人もいます。

「私、ウクライナには毎年行って演奏していた。だからとても考えられない、悲しくて」

戦争をなくすためには…

「人を怒らせるようなことは絶対に言わないこと。私は人を傷つけることは、どんな嫌なやつでも黙って言わない。Schweigen ist Gold＝沈黙は金なりというドイツ語がある、本当にそう」

財団によりますと、フジコ・ヘミングさんは2024年3月、すい臓がんと診断され療養を続けていましたが、4月21日に亡くなりました。92歳でした。

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