片岡仁左衛門は一人で演じる「聞く勧進帳」で能登半島復興チャリティー開催。義経・弁慶・富樫に加え、四天王や番卒も語り分け。孝太郎も舞踊「松の緑」。「勧進帳」の一部を三味線で弾く
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 Published On May 8, 2024

この5月6日の企画を知ったとき、すぐに「行きたい!」と思いました。チャリティーをされる仁左衛門様のお気持ちに答えたいというのと、一人で演じる勧進帳を、日々の鍛錬のためになさっているというのを読んだことがあったので、一度聞いてみたいと思っていたからです。

会場はホテルニューオータニの「芙蓉の間」。席は、最初の段階では、自由席となっていましたが、途中から抽選ということになりました。無駄に早く行かなくてよくなり、これは良かったです。

抽選の列に並ぶ時からドキドキでしたが、残念ながら、サイドの後方。ちょっとがっかりしましたが、「聞ける」からいいやと切り替え。

14時開演です。

司会:中山美穂

①片岡孝太郎挨拶
この会が発案された時の様子を話されました。
ある日、父の仁左衛門から、話があると呼ばれた。
仁左「五月はあいているか?」
孝 「歌舞伎座はないと思います。」
仁左「では、こういう企画を考えているから、よろしく」

こういう話を聞けるだけで嬉しい。

また、日々の「父」についてのお話
・毎日の芝居を録画して、それを家で見て、セリフが自分の思ったように言えていなかったとか、いろいろチェックをして、もっとよくしようとしている

・若手にも、注意やアドバイスをしている

・声の音域がとても広い。これは、子供の時からやっている義太夫の稽古の成果でしょう。

・父に聞こえたら怒るかもしれないけど、今日はこの演目の「一世一代」になるかもしれない。

また、先代の十三代目も、90歳になっても、夜中に芝居のセリフのことで、家族(娘さん?)を読んだりしておられたということで、常に前進するという役者魂を受け継がれているのですね。

・ご自分の演目の「松の緑」について
初役で、今回のために、新たに振りを考えてもらった。以前のチャリティーでも、仁左様が三味線で「勧進帳」を弾くから、「唄いなさい」ということになり、清元は習っているけれど、お稽古したことがない長唄の練習を、急いで始めたとのこと。

②孝太郎舞踊「松の緑」

③仁左衛門挨拶
待ちに待っていた方の登場で、大きな拍手がおこります。ここにいる人たちは、全員仁左様ファンでしょうから、全員が一つとなってでお迎えしている空気が、なんとも心地よい

・最近、耳が少し遠くなって、孝太郎が言ったことがよく聞こえなかったので、ダブったらすみません。

・今回はチャリティということなので、ご参加いただいただけで目的は達成されています。ですので、孝太郎の踊りや、私の演目については、出来が悪かったとしても、オマケと思ってお許しください。(意訳)ということで、温かい笑いが

・私くらいのお歳の方ならわかるでしょうが、いつもわかっていることなのに、急にフッとわからなくなることがあります。ので、セリフが出ないこともあるかもしれません。(笑)

また、子供のころについて、息が長くなるように、ある単語「〇〇ひーーーー〇〇」(忘れてしましました!)を、十三代目が兄弟姉妹に言わせていた。「長くできた人が飴をもらえるんですよ」という時が、なんともやさしい表情でかわいらしい。「ひ」が「い」よりも息を使うからということでした。

素の仁左衛門様のお話を直接聞けたのは初めてだったので、「これ聞けただけでも、帰ってもいい」という程でした。


➃そして、「聞く勧進帳」の始まりです。

長唄やお囃子のところは、舞台をはけますが、1時間以上の間、スッと立って演じておられました。「山伏問答」のところで、1ケ所だけセリフが止まったところがあり、その瞬間に素になって「すみません」と。役でセリフを言っている時と、瞬間でガラリと変わるのが見られて、かえって新鮮でした。

関を通過して、さあ行こうという時に、番卒がお酒をもってきます。このあたりからは、舞台ではお酒を飲んだり、「延年の舞」があったりで、長唄とお囃子で進みます。演奏の終盤に「あれなる山水の・・」というようなセリフを途中ではさまれます。終わってから、「打ち合わせが不十分で」と言われていて、どうも、そのセリフのタイミングが違ったのかなと。でも、そんなことは、全然問題なかったです。


どんな風に語られのかなと思っていましたが、舞台にスッと立ったまま、セリフだけで役を演じわける。アッ、富樫だ、弁慶だ、というのがわかる。義経は、舞台では見たことなかったのですが、品よく柔らかい。長唄の間に、お顔の汗をぬぐわれるシーンも。

長唄の演奏が終わり、出てこられた時に、さらに大きな拍手。感動しました。


⑤そこからは、ガラリと変わってチャリティの収支報告がありました。

参加人数:818人(x2万円)
経費は、ホテル・ニューオータニの会場代と舞台の設営費がほとんど。ニューオータニも「ずいぶん勉強していただいた」ということでした。

約1380万円が義援金として石川県庁に

参加スタッフは皆さんボランティアで、と紹介するところもなんともほほえましく、また、金額の報告をする途中で「数字を読むのが苦手なので」と、隣にいる孝太郎に突然ふる。「私も苦手」と焦る孝太郎。役者さんですものね。そういうのも、いい感じでした。

私は、歌舞伎仲間4人で参加したのですが、興奮さめやらす、しばらくお茶して語り合い。帰宅後に、着替えもせずにすぐにお三味線を弾きました。いまだに余韻が残っています。




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